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日本は災害国なのに、気候危機に対応しえていない。
環境政策の先端を国際的に研究し、世界をかけめぐりリードしてきた著者が、コロナ禍後の環境のあり方を説く。
SDGsとは何か、脱炭素社会とは、世界の様々な環境活動の意味を日本とともに明示する。環境を考える必読書。
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21世紀の環境指針となる新環境政策への思索!
新型コロナウイルス感染症と気候危機は人類の生存に関わる問題であり、コロナ禍から脱炭素で持続可能な社会への速やかな移行を進めることが日本と世界が目指すべき方向だ。
コロナ禍不況からの脱却を意図する経済復興策は、同時に脱炭素社会への移行と転換、そしてSDGs の実現に寄与する「緑の復興」でなくてはならない。首相は国会で、「二〇五〇年までにカーボンニュートラル(脱炭素社会)実現」を宣言した。緑の復興から脱炭素社会への移行を目指す取り組みは待ったなしだ。本書は移行のための新環境政策論を国際的動向の分析も踏まえ詳細に論じた。あわせて日本や世界各地への環境と文明を巡る思索と交流の旅をつづる。
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新書判・208ページ
出 版 社:文化科学高等研究院出版局
ISBN13:978-4-910131-07-8
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■目次
第1部 「緑の復興」(グリーンリカバリー)から脱炭素社会へ
・コロナ禍からネットゼロの世界へ:緑の復興と脱炭素社会へ
・気候危機:日本は何をすべきか?
第2部 21世紀の新環境政策論
第3部 環境を巡る旅と随想
第4部 気候危機とSDGs に若者がとりくむことへの期待
松下和夫(著/文)
1948 年生まれ。京都大学名誉教授、(公財)地球環境戦略研究機関シニアフェロー、国際アジア共同体学会理事長、日本GNH 学会会長。東京大学卒業後、環境庁(現環境省)に入庁。ジョンズホプキンス大学大学院修了。環境省、OECD 環境局、国連地球サミット上級環境計画官、京都大学大学院地球環境学堂教授(地球環境政策論)など歴任。専門は環境政策論、持続可能な発展論、環境ガバナンス論など。地球環境政策立案・研究に先駆的に関与し気候変動政策、SDGs などに関し積極的提言。
「気候変動に関するパリ協定は人間活動による温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにする目標であり、脱化石燃料文明への経済・社会の抜本的転換が必要である。今日の私たちは、地球社会と環境の持続可能性という制約の中で、人々の厚生の持続可能な維持と発展を図るという『持続可能な発展』の本来の意味を改めてかみしめ、持続可能な社会への移行への現実的な政策設計とその実行が求められている」と訴える。主要著書に、『地球環境学への旅』(EHESC 出版局2011)、『環境政策学のすすめ』(丸善、2007)『環境学入門12:環境ガバナンス』(岩波書店、2002)『環境政治入門』(平凡社新書、2000)、編著『環境ガバナンス論』(京都大学学術出版会、2007)訳書、ロバート・ワトソン編『環境と開発への提言: 知と活動の連携に向けて』(東京大学出版会、2015)など。